旅の足跡・・・12

尾道・・・

 

広島県にある、海があって、坂が多くて、素敵な町である。

 

大林宣彦(おおばやしのぶひこ)監督の故郷でもあり、映画では尾道3部作といわれた、「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」が有名だ。

 

「さびしんぼう」は、3回も映画館で見た。ショパンのピアノ曲がまた映画にぴったりで、道化役と高校生の少女の二役を演じる富田靖子さんの演技も美しさも実にすばらしかった。

 

そんな想いを込めて、尾道の町を1日じっくり歩いた。

坂道にたたずみ古民家・・・市民がバス代わりに利用する、フェリーが離島を行き来する。自転車に乗った高校生を追うようにフェリーに乗り込む。富田靖子さんに似た、黒髪の美しい高校生だった。日が沈んだ瀬戸内海・・・特別な観光地ではないのに、なんだか落ちつく町・・・

 

「お~い。さびしんぼう。」

「さびしくなんかないわ。私は。」

 

海を眺めながら、何回もこのセリフが頭をよぎる。

 

おのみち・・・いつまでも、このままでいてもらいたい。