異年齢保育を考える

先日の研究会で、経験ある保育者たちとの関わりの中で、「異年齢保育がスタンダードであるべき。日本は保育については遅れている・・・」という話を伺いました。ホワイトきゃんばすは、最初から30~40名の子どもたちを職員6名全員で見守る仕組みしか取れないので、異年齢保育をせざるを得ないところからスタートしましたが、2年が経過し、異年齢保育の成果を実感している今では、積極的異年齢保育(理念的異年齢保育とも言われています)での取り組みに変化してきました。

 

ここで、異年齢保育について少し整理したいと考えます。

 

異年齢保育がスタンダードなドイツの例をあげます。日本では、アメリカを経由して、ドイツのフレーベルの思想が持ち込まれ、これを「幼稚園」と訳し1876年、日本で初めての幼稚園として、東京女子師範学校付属幼稚園が開設されました。

 

このような経緯ですので、当然、幼児教育や保育については、ドイツの方が進んでいるのが実態です。ここでは、最近のドイツにおける保育状況の報告を見てみます。

 

様々な年齢構成のグループにいる子どもたちは、互いをよく知ろうとします。年長児や年少児は、ひとつの課題やプロジェクトを一緒に取り組むことを大変喜びます。ここに子どもの成長があり、同年齢で比較される右肩上がりの発達曲線ではなく、時には年長児と年少児が同一の「発達段階」に立ち、共に学ぶ姿が見られます。

 

同一年齢の子どものグループでは、1つの課題に取り組むとき、ある子どもにはまだ情緒的にも身体的にも時間を要するような事柄であったとしても、他の子どもの発達状況では簡単すぎてしまう場合もあり、子ども達にとって、簡単すぎたり難しすぎたりする要求が発生するのは、むしろ同一年齢の子どものグループの方が多いと思います。

 

イギリス、ロシア、フランスなどは、初等教育をより強く意識した、勉強や知識を定着させるカリキュラムが組まれていますが、ドイツでは、一人ひとりの子どもの人間性の発達、人間関係にかかわる能力の発達、学びの方法や総合的に考える力の形成を全面に掲げています。教育の過程では、いつでもこれらの要素が全体としてバランスを保っているか注意を払っています。

 

ざっと、最近のドイツのレポートですが、要は、子ども達の発達過程は、個人差があるので、同年齢だと例えば「4歳なら○○ができる」という指標に子どもたちを無理やり持っていく教育となる。しかし、異年齢であれば、もともと個人差がある環境がベースなので、年齢に関係なくそれぞれの発達段階にあわせて、異年齢が協力し合うことができる・・・という内容です。

 

異年齢保育の考え方の基本は、理解できたと思いますが、私たちは、日本人ですので、日本ではどのような取り組みの実態があるのか・・・明日に続きます。

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コメント: 1
  • #1

    メリットとデメリットのバランス (水曜日, 20 8月 2014 21:05)

    異年齢保育は教育的側面から見ればすばらしいものですが、それ以外の角度から見た場合果たしてメリットばかりでしょうか?
    例えば衛生面、行動範囲の広い6歳児が媒介する菌やウイルスが0歳児や1歳児の抵抗力に敵うものばかりではありません。
    インフルエンザが園内で大流行する発端は行動範囲が広く、多様な人物と接触をする年長児という場合も見られます。
    また逆も然り、うがいが上手に出来ない等、年少児の衛生管理の未熟さがウイルス性の病気を広めたりもします。

    他にも身体的な安全面や保育士の力量が異年齢保育を実践するに十分であるか等、考えなくてはならない事はたくさんあるかと思います。


    何事もあるひとつの方向からだけではなく、多角的に見て、総合的に一番バランスの良いところに着地するのが良いのかなと感じます。