戦後70年を考える~教育~

終戦後の昭和22年に教育基本法(旧)が制定されました。「日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して戦後の新しい日本の教育の基本を確立するために、この法律が制定された」としたもので、戦時中の教育を受けた人々にとっては、画期的なことだったに違いありません。

 

今日は、この時代のことではなくて、私が「親」として子育てを始めた時代まで、先に進めます。今でも、賛否が分かれる「ゆとり教育」と「学校週5日制」の導入です。

 

平成8年に「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」で出された内容は、校内暴力やいじめ・落ちこぼれへの対応として「生きる力」の育成と「ゆとり」の確保が提言されました。

 

具体的には、月1回の土曜休業日から始まり、月2回へと拡大。平成14年度からは完全週休2日制に移行しました。授業内容も「総合的な時間」が設けられ、教師の裁量が問われました。

 

私も土曜日にゆっくり起きてくる子どもたちに「今日は学校休みなのか・・・やっぱり、土曜日も学校で勉強したほうがいいな~」などと思う父親でした。また、洋菓子メーカーの営業マンだった私は、「今度の土曜は学校休みだから、家族で買い物にくる。プリンの発注を前週の120%にするべし!」と担当する店舗に指示を出していました・・・(笑)

 

しかし、「厚労省の週40時間労働に合わせるために導入された。子どもたちのためになるという確証もなく導入されたので、結果として子どもたちから勤勉さを失わせた」「日本社会の国際化を目指し、失敗した。日本の社会、経済、家庭は機が熟してなかった」といった、反対意見が大半を占めました。週5日制とゆとり教育で、子どもたちの学力が低下したという考えです。

 

逆に、「週休2日制が施行され、教職員にゆとりが生まれた」「働き過ぎの日本には良い制度である」という賛成意見もありましたが、平成22年以降、東京都内の小、中学校を皮切りに、教育課程内の土曜授業が復活するようになりました。今は、私立の中学高校では、土曜授業がスタンダートです。

 

さて、教育も子育てと同じで、一人ひとり違う子どもたちを相手にしているので、1つの答えはありませんし、言ってみれば「答えがないことへの挑戦」でもあります。

 

戦後教育、特に平成に入ると、「詰め込み教育」と「ゆとり教育」のどちらが是で非かという、2項の対立が議論の中心だったかもしれません。でも、その答えは、おそらく永遠にありません。しかし、様々な可能性と個性に溢れる子どもたちに対して、「生きる力」を育成することには異論はないでしょう。

 

「いかに社会が変化しようとも、いつの時代も知徳体のバランスの取れた教育課程を編成し、基礎学力を身に付け、それらを活用して積極的に問題を解決していくために必要な、思考力、判断力、表現力等を育み、主体的に学習に取り組んでいく態度を育成していくための取り組みを地道に推進していく必要がある」と鹿児島県南九州市の教育長が語ります。

 

総論には、異論なしですね。あとは、具体的に私たちがどう進めていくかが大切です。保育園の子どもたちへの取り組みも、一つの答えを求めるものではありません。個々の可能性を信じてやっていこうとあらためて考えた一日です。