NPOへ転職

「デーブル・フォー・ツー」をご存知ですか。企業が社員食堂などでヘルシーな食事を提供し、代金に上乗せされた20円で、アフリカの子どもに給食を届ける活動を行っています。「寄付をする」となると、二の足を踏むことが多いシャイな日本人ですが、ランチで、わずか20円の上乗せなら、少しは社会貢献できたと感じることができますね。

 

この「テーブル・フォー・ツー」は、NPO法人です。最近は、NPO法人に転職する若い女性が増えているそうです。力をつけるために民間企業で一度働いたり、企業活動の中で社会問題に関心を持って転職を選ぶ人が多いとのことです。

 

そもそもNPO法人とは・・・皆さん知っていますか?漠然と「非営利団体という組織だから、利益をあげてはいけない団体・・・」と思っている人が多いと思いますが、半分は間違いです。

 

「非営利団体」とは、「お金を儲けてはいけない」ということではありません。活動にかかわる費用や、働く職員の人件費は、会費収入や寄付だけでは当然まかないきれません。通常の企業と違う点は、「役員や株主に利益の分配を行うことができない」ということです。利益は、次の事業などの活動費にプールすることが認められています。

 

NPO法人のイメージは、国境を越えた世界という舞台で、飢餓や貧困を支援する活動や、国内でも、震災等の被災地支援や、最近問題となっている貧困世帯の子どもたちへの学習支援といった事を思い浮かべる人が多いと思います。

 

活動の意義や目的を熱く語り、一般法人へ寄付を募るにも、その交渉力が問われる仕事ですので、「何か人の役に立ちたい」という漠然とした動機で、大学を卒業後にNPO法人に就職しても通用しないことが多いのです。そこで、民間企業で一定のスキルを身につけてからの転職というパターンが見られるのです。

 

女性が多いのは、結婚、出産などで生き方や働き方を変えることが多く、男性よりも柔軟性があること。また、男性中心の企業や社会のあり方に疑問や限界を感じる女性が、行政や市場で解決できない問題に取り組むNPOに魅力を感じるのではないかと、言われています。

 

しかし、NPOの常勤職員の年収は、民間企業の半分程度が相場で、一般企業からNPO法人へ転職することで、やりがいや働きがいを得られるものの、給料は大幅減というのが実態です。NPO先進国と言われるアメリカでは、就職先としてNPOが民間企業と同様の選択肢になっています。

 

これからの若者は、自分の目指す生き方が多様化していくことは間違いないでしょう。社会貢献したいという若者が増えるのであるなら、日本においてもNPOが正しく認識され、民間企業のように、当たり前に活動している存在になってもらいたいですね。