井の中の蛙

昨日、私の長女が、4月から就職する会社の「就活セミナー」の語り手として、大学3年生相手に、「あーだこーだ」とアドバイスをしてきたそうです。内定者がホットな就活情報を後輩へ伝授する・・・といったところでしょう。

 

そこで、老婆心ながら、おやじ園長から就職活動をする大学3年生へのアドバイスです。「いくら名の知れた大企業でも、中途採用をしない会社はやめなさい」

 

最近では、私立、公立問わず、学校の校長、教頭、教員が、民間企業で働いた経験を持つ人材が増えてきました。このブログの中でも、「一杯のチョコレートから子どもたちの笑顔へ」の本の中でも、「よのなかの先生」の重要性や役割を、私は何度もしつこくらい言い続けていますが、それは、民間企業でも同じことです。

 

間もなく3・11となりますが、東京電電力に勤める約5万人の中に、中途入社の社員は一人もいなかったと言われています。東日本大震災で、福島の原発事故の被害が拡大した最初の5日間に、旧経営陣が頼ったのは、弁護士だったそうです。どうやって、事故の被害を止めるかよりも、どうやって法的リスクを減らすかを弁護士と相談していたのです。

 

ここに、お客様第一主義が当たり前の会社から転職してきた人材があったならば、対応が変わっていたことでしょう。かつては、日本の技術力を世界に誇った、東芝・シャープ・ソニーといった、名門の会社もいつのまにか、「自分がどんな誇り高き仕事をしている」よりも「自分がどこに属するか」「どうやって無事に退職できるか」「どうやって組織内のピラミッドをよじ登るか」が目標になってしまったのかもしれません。

 

自社にしか対応できない社員の中から誕生した社長が、大きな井の中の一番大きな蛙となる。今風の企業用語で言えば、「ガラパゴス島の王者」ですね。人脈は広いが視野が狭い。順風には強いが逆風に弱い。気が大きいが肝が小さい。少し、言い過ぎかもしれませんが、ガラパゴス島にしか住んでいなかった、ガラパゴスオオトカゲなどの多くの固有種

の生き物たちは、外から人間によって持ち込まれてしまった外来種に、あっという間に駆逐されてしまいました。

 

孤立した環境にの中にいると、外からの高い技術や商品が導入されると、最後は淘汰されてしまうという、ガラパゴス諸島の生態系になぞられて、「ガラパゴス化」という言葉が、日本で生まれたビジネス用語です。まさに、先に挙げた大企業の今を物語っています。

 

これから、就職活動をスタートされる学生には、自分でやりたい仕事が見つかり、そこに就職することがベストかもしれませんが、多くの学生は「いったい自分は何をしたいんだろう?」と葛藤しているはずです。そんな時、とりあえず名前の知れた会社に就職の判断基準として、「ガラパゴス化していない会社」を考えてください。