「インスタ映えしない」が魅力

休みの日などに、たまに娘を連れて外食をすると、料理やデザートを食べる前に、スマホで写真を撮ります。インスタグラムにアップするとか言っています。

 

今や、おいしさやその商品が持つ特徴やこだわりなどのウンチクよりも、いかに写真映えするか、見た目に特徴があるか・・・が優先されるようになってしまいました。店舗も、SNSでの口コミで集客を増やすマーケティングを重要視するあまり、商品開発の優先順位が「インスタ映えする見た目」となっているのかもしれません。

 

こうなると、あまのじゃくな私は、インスタ映えしなくても、長く続いたおいしいモノを探したくなります。そこで、まず最初に浮かんだスイーツが、シンプルなチーズケーキです。

 

このチーズケーキの起源となるウンチク話をさせていただきます。(話が長いかも?)

 

チーズケーキの火付け役は、「モロゾフ」という洋菓子ブランドです。ベルリンの壁がドイツを東西に隔てていた1969年春・・・当時のモロゾフ社長であった、葛野友太郎(くずのともたろう)さんが、視察のために訪れていたベルリンで一軒のカフェに立ち寄りました。そこで食べたのが「ケーゼクーヘン(ドイツ語でチーズケーキ)」でした。口に入れるなり、ふわりと広がる豊かなチーズケーキの風味に衝撃を受けた葛野さんは、「このチーズケーキを日本でも広めたい」と帰国後さっそく試作を開始。まだチーズになじみがない当時の日本人の口に合うようにと、何度も試行錯誤を繰り返しました。

 

そして、レモンでさわやかな風味に仕上げたチーズケーキは、発売からしばらくして大ヒットし、1970年代には、一大チーズケーキブームが巻き起こりました。モロゾフのチーズケーキが日本のチーズケーキ文化の起源なのです。

 

このモロゾフの「クリームチーズケーキ」は、見た目にシンプルすぎて、インスタ映えはまったくしません。それでも、半世紀近くにわたってロングセラーを続けているのです。私も、何度も口にしています。おいしいだけでなく、「これが、日本のチーズケーキのはじまりなんだ・・・」なんて思いながら食べています。

 

どうですか、みなさんのまわりでも、インスタ映えしなくても、長く続いたおいしいモノがたくさんあるのではないですか・・・探してみませんか。

 

ところで、なぜ、おやじ園長が、チーズケーキの起源に詳しいのか・・・「一杯のチョコレートから子どもたちの笑顔へ」を読んでください。(笑)