自己肯定感のバランス

以前にイエナプラン勉強会で、小規模保育所を経営する方が参加されました。この方は、海外留学の経験があるそうで、日本人の子どもたちの「自己肯定感」が極端に低いことを危惧されていました。

 

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が、2015年~17年の追跡調査結果を発表しました。小学校4年から高校3年の子どもたちとその保護者2万1000組を対象に、「自分の良いところが何かを言うことができるか?」に対して、「できない」と答えた子は43.4%だったそうです。

 

単純には言えませんが、自己肯定感が低い子が、半分近くいるということになります。

 

世界の子どもたちとの比較を例にすると、多くの調査結果で「日本の子どもは、自己肯定感が低く、最下位レベル」と言われることに、少しうんざりの気持ちもありますね。日本の「謙遜」という考えや、自分をアピールすることがかっこ悪いと言われる風土も影響するので、一概には言えないと思ってみたりもします。

 

私も、保育園の4歳男の子が、あまりにも「俺は、クワガタ捕まえられるぞ!」アピールが多いので、「〇〇君ができることは、みんな知っているよ。今度は、できるって自慢しないで、他の子にやり方を教えてあげると、もっとカッコイイ〇〇君になるよ」と、口出しをしてしまいます。

 

自己肯定感が、低いことを危惧しながらも、「俺が俺が・・・」的なところも、良しとしない気持ちが働いてしまいます。自己肯定感が高いと幸せで、低いと幸せでないとは言えませんし、みなさんは、「自己肯定感」をどう思われますか。

 

さて、冒頭の研究結果では、「将来の目標が明確」という子の多くが、自分の長所を言えると答えたそうです。

 

研究結果から「日本の子どもは自己肯定感が低いとよく指摘されるが、将来の目標や勉強に対する意欲など、保護者や教員の働きかけによって、子どもの自己肯定感を高める可能性があることが分かった」と言えるようです。

 

子どもたちは、新しいことへの取組みが成功すれば、少しずつ自信がついてきます。ただし、それが行き過ぎると、自信過剰になり、できなかった他の子どもをけなしたりもします。

 

要は、自己肯定感もバランスの問題といえるのかもしれません。日本人のバランスの基準が、他の国と比較すると低いだけであって、自己肯定感が低いのではないと・・・私は思いたいものです。