「親権」の重み

昨日は、さいたま市でも積雪の予報で、覚悟していたのですが、雪景色を楽しむまでにはいきませんでした。子どもたちと、屋上で雪遊びを楽しむはずが、ファームに薄っすらと積もる雪を手にするくらいで、「雪だるまを作りたい!」という子どもたちの願いは、かなえることはできませんでした。

 

保育園の仕事では、「大雪になったら大変~」という一般の大人が思う気持ちと、「雪遊びを子どもたちにさせてあげたい」という気持ちが、葛藤するのです。(笑)

 

さて、千葉県野田市の10歳女の子の虐待死の報道が、今も続いています。

 

「ひどい親だ!」「児童相談所は何をしていたんだ!」と批判しても少女は帰ってきません。ここは、冷静に考える必要があります。

 

「こんな事件が毎年発生しているのなら、私が児童相談所に勤務して力になりたい」と考える人が増えていると聞きます。しかし、児童相談所に勤務するのは、簡単にはいきません。虐待相談や家庭訪問を行う職員は、「児童福祉司」という資格保有者です。

 

児童福祉司になるには、①厚生大臣指定の養成学校を卒業した者、または厚生大臣指定の講習会修了者②大学で心理学、教育学、社会学を専攻した者③医師④社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者⑤1~4に準ずる者で、必要な学識経験がある者となっています。保育士資格試験では、高い確率で出題される内容です。

 

しかも、児童相談所に勤務する人は、公務員ですので、公務員試験に合格しなければなりません。ですので、「私が児相を変えてやる!」と志を持っても、簡単には児童相談所の職員にはなれません。

 

虐待相談が、右肩上がりに増加する中で、児童福祉司の担当件数が一人平均40件もあり、経験も浅い職員が増えている現実を考えると、今回の10歳少女の事件のように、父親の脅迫行動に屈してしまったり、担当する40件の中での緊急度合いの判断を誤ったりすることが起きてしまったのです。

 

勤務する児童福祉司は、それぞれ「子どもたちのために」という志を持って、現場で働いていますが、所長クラスは、人事異動でたまたま児童相談所勤務となり、ここで問題なく過ごして、公務員キャリアを積むだけと考える人もいるかもしれません。現在、児童相談所が抱える問題点を改善しようなんて思わないかもしれませんね。

 

保育園ホワイトきゃんばすも、保育所という性格上、さいたま市の児童相談所の担当と、今まで何度もかかわりを持ってきました。私の目からは「きちんと仕事をされている」と感じる担当者もいれば「あれ?」と思う担当者もいます。あくまでも私見です。

 

過去には、児童相談所職員と警察OBが、保育園の内外で見守りながら、卒園式を行ったこともありました。若い女性職員が、暴力的な保護者と対峙するには限界があり、警察OBとタッグを組むことは、今では当たり前に行われていますが、この日は、特別な緊張感がある卒園式でした。

 

日本では、「親権」を剥奪される親は、年間で25名程度だそうです。一方、ドイツでは、15000件を超えるそうです。つまり、日本では、子育ては「親」がするものという「親権」を尊重する考えが根底にあります。一方、ドイツなどのヨーロッパ諸国では、親ができないなら、地域や社会で子どもを守るという考えが強いのです。

 

日本の子育て対策を考える時に、「保育園を作る」というハード面だけでなく、児童相談所の役割をどう考えるか・・・これも、社会が子どもを育てることに通じる、大切なことです。「けしからん!児童相談所」から「これからの児童相談所はどうあるべきか」を考えてみませんか。