「桃太郎は盗人なのか?」

2019年のノーベル化学賞に、リチウムイオン電池の父と言われる吉野彰さんら3人が選ばれました。うれしいニュースですね。

 

今までのノーベル化学賞といえば、私たちのような一般人では、よく分からないような難しい研究が多かったですが、今回のリチウムイオン電池は、パソコン、スマホから電気自動車まで、私たちの生活には欠かせない、現代生活のインフラにほとんど関係しているものです。

 

私たちが、当たり前に使っているモノが、ノーベル賞です。これからは、このブログを書いているパソコンにも大いに感謝することにします。(笑)

 

さて、「桃太郎は盗人なのか?」という本をご存知ですか。この本の著者は、倉持よつばさんという小学校6年生です。彼女は、昨年の夏休みに、昔話の「桃太郎」を巡って、200冊以上の書籍を読み比べ、その成果がハードカバーの単行本となったのです。

 

倉持さんは「今は鬼というと悪いイメージがあるが、昔の話だと宝物を奪いに行ったのは桃太郎。鬼自身は何も悪いことはしていない。そこを知ってほしい」と語ります。

 

私たち大人は、昔からのすりこみで、鬼は悪い者というメッセージを自然と子どもたちに発信しています。それを、倉持さんは、小学生らしい「ちょっと、おかしいんじゃない?」と受け止めるのです。それで、200冊です・・・凄いですね。

 

200冊以上読んで気がついたのは、桃太郎の話が時代によって異なること。特に、鬼については、江戸から明治初期は、鬼から宝物を奪っている→明治末ごろから、鬼が自ら宝を差し出すようになっている→昭和になると、優しい鬼が出てくる。

 

このように、時代と共に、鬼が非力になっていく様子を発見。鬼に落ち度はなく「桃太郎盗人説」に共感を覚えたそうです。同時に、得体の知れないものを「鬼」とすることで、日本人は昔から、心の安定を図ってきたという結論にたどりつきます。

 

どうですか、大げさですが、民俗学者を含む多くの大人たちが思いもよらなかった「人と鬼」の謎の解明のヒントになるかもしれませんね。これが、小学生の書いた本です。あっぱれ!・・・脱帽です。

 

私たち大人は、子どもたちに、少しでも多くの本を読む習慣をつけさせたいものです。大人では考えもつかない発想が、誕生することは間違いありませんね。