麹町中学校 卒業生の言葉②

朝になり、続々と台風19号の被害状況が報道されています。台風一過の青空を素直に喜べない状況です。千曲川の氾濫で、新幹線の車両基地が水に浸かっている映像はじめ、まだ被害が拡大することが心配です。

 

保育園のある、さいたま市西区には、荒川が流れています。昨夜は、何度も携帯電話に荒川の水位が危険水位になったという緊急メールが一斉に入ります。地震の時のアラーム音とは違う聞きなれない音ですが、家族の携帯5台が「ピーピー」と鳴り出すものですから、一瞬、緊迫した状況になります。

 

荒川をつなぐいくつかの橋のライブ映像を見ることができたり、パソコンやスマホを使った情報収集については、現在は、かなり進んでいるような気がします。しかし、お年寄りなど、情報が取れない人たちも多くいることも事実です。

 

昨今の災害については、地球環境レベルの対応が必要・・・と報道されますが、具体的にどうすべきかは、難しい問題ですね。「命を守る行動を!」という言葉も、何度も聞きましたが、今回は、緊張感をあおるNGワードになったような気がします。この問題は、私たち一人一人が、しっかりと考える必要がありますね。

 

さて、麹町中学校 卒業生の言葉の続きです。

 

二つ目は「ゴール」です。日本語で言えば、目標、目指すもののことです。

 

麹町中学校では、行事一つ一つにゴールがあります。僕たちはそのゴールに近づくように準備や練習をしてきました。特に僕たちの3年生にとって最後の体育祭はゴールを強く意識しました。体育祭の目標は「全員が楽しめる体育祭」。運動が得意な人も、苦手な人も

楽しめるという難しい目標です。

 

この目標に近づくために色々なことに挑戦しました。スウェーデンリレー、ピコピコハンマー騎馬戦、台風の目。応援団をつくったり、何よりチームを東と西に分けました。1つ1つが初めてで、毎日毎日会議室にこもって話し合いをしました。新しい種目はみんなが楽しめるのか、本番どんな問題が起こりそうか。考えることが多すぎて、帰りたくなくなることも多かったです。

 

でも、私たちには明確なゴールがありました。「全員が楽しめる体育祭」そこに向かって準備を進めることができたのです。体育祭の準備を進める中で、様々な壁にぶつかったわけですが、特に大きかったのが全員リレーでした。

 

全員リレーは例年、3年生全員でリレーをする伝統的な種目でした。でも、全員リレーをやりたくない人が毎年いる、というのは事実でした。どうするか悩んだ挙句、3年生にアンケートをすることにしました。「あなたは全員リレーに賛成ですか、反対ですか」というアンケートです。

 

もし、賛成が100%だったなら、僕たちは全員リレーをやったと思います。でも結果は違いました。10%、約15人は反対と答えました。この結果を見て、またも企画委員は悩みました。

 

賛成90%、反対10%。多数決だったら賛成の圧勝です。でも、悩み、話し合いをした結果、僕たちはリレーをやらないという結論を出しました。それは、僕たちのゴール「全員が楽しめる体育祭」を実現させるためです。多数決できめるべきではないと、そう決めました。僕にとっては、今までで、最高の体育祭でした。皆さんはどうだったでしょうか。

 

一つ一つの行事、活動、そのほか様々なものにゴールを見つける。そうすることで、自分のすべきことが見えてくる。僕は、麹中での3年間でそれを知ることができました。

 

ゴールは1つの道しるべでもあります。そこに向かっていかなければいけない。全員リレーのように自分の思い通りにはできない。でも、ゴールにたどり着けば、僕たちはもっと上の楽しさ、達成感を味わうことができます。それがゴールを決める本当の意味なのです。

 

つづきは、明日です・・・