三歳児神話

最近では、あまり聞かれなくなった言葉に「三歳児神話」があります。つまり、「3歳までは母の手で育てるのが子どものためになる」という考えです。

 

今から50年くらい前、日本では、まだ保育所に子どもを預けて母親が働くことが少なかった時代の話をある記事で読みました。

 

「子どもを保育所に預けることは、肩身が狭い思いをするというか、私を批判的に見る人が多くいました。悲しいですが、『鬼のような母親』と言われたり、『こんなにかわいい子がよそに預けられているのね~』『保育所から連れ帰ると保育所の匂いがするわ』『大学出の母親は非常識ね!』などと言われました。三歳児神話が、女性たちに大きな影響を与えていることを実感しています」といった内容です。

 

この家庭第一主義の考えがどこから来ているかを調べると、イギリスの医学者「ジョン・ボウルビィ」の「母性的養育の剥奪」を理論化したものだといいます。

 

つまり、「母性が親密であれば、子どもは幸福感に満たされるのであり、それが欠けてはならない。母親のアタッチメントが子どもの自立のためにすごく大切なものだ」という考えです。

 

今の常識で言えば、保育園に預ける母親は、24時間我が子と離れているわけではありません。1日の半分以上は、寝食を共にしています。また、子どもの自立には、家庭環境もありますが、3歳児未満でも保育園での集団生活が、大きく影響していることなど、当たり前の考えですね。

 

そして、何より「母性」という言葉が、私に言わせれば、「死語」にしたい言葉です。子育ては、母親だけがするものではなく、父親も同じ役割ですし、保育園や地域で行われる時代になりました。母親だけのものではありませんね。

 

保育士の国家試験では、「愛着形成」など医学的実験を踏まえた理論が出題されるので、私もかつては勉強しましたが、実際に保育園での3歳児未満児を見ていると、この子たちがやがて大人になり社会に出ることを考えると、保育園での集団生活で学ぶコミュニケーション能力が成長に欠かせないと実感します。

 

三歳児神話については、様々な考えがあるでしょうが、保育現場のおやじ園長に言わせれば、早く消えてもらいたい言葉ですね。