龍が住む「地下神殿」

前々から行きたかった、巨大地下神殿・・・ついに行ってきました。地下にある遺跡ではありません。ここは、国土交通省が管轄する「首都圏外郭(がいかく)放水路」です。

 

埼玉県春日部市の国道16号線の下50メートルに、全長6.3キロのトンネルがあります。これが、首都圏外郭放水路です。6.3メートルの間に、5つの「立坑(たてこう)」と呼ばれる直径30メートルの縦穴があり、そこに、近隣の中小河川があふれそうになった時に水を取り込みます。

 

全長6.3メートルのトンネルを流れる水は、最後に「調圧水槽」に流れ込みます。この調圧水槽が、「地下神殿」のようだ・・・ということで、外国人も含めて、話題のスポットになっているのです。

 

まだ記憶に新しい、昨年10月の台風19号は、東日本の河川を氾濫させ、土砂を崩しました。この地下神殿は、東京ドーム10杯分の水をのみ込んだそうです。そして、その水を江戸川にはき出すことで、「浸水被害の9割を軽減できた」といいます。

 

地下神殿の空間は、幅78メートル、奧行き177メートル、高さ18メートルもあります。そこに、空間を支えるコンクリートの柱が59本並びます。1本が重さ500トンの大きさです。

 

2018年から有料の地下神殿ツアーとして、外国人含めて、今年は年間5万人以上を見込んでいるそうです。私も、ガイドの先導で116段の階段を下り、その地下神殿を目にした時は、息を吞んでしまいました。水害から私たちの生活を守る場所ですが、無の美しさがありました。

 

私の質問の虫が走ります。

 

たまった土砂はどうやって取り除くの?「地上の扉が1ヶ所あり、そこからクレーン車で清掃用のポンプ車を搬入して土砂を取り除きます。ただし細かいところは、人の作業です」

 

この地下神殿の寿命は?「200年は持つ構造です。もちろん、柱の強度は定期的に点検しています」

 

魚やカメなどの生き物も流れ込むのでは?「3センチ角のネットを通して水が入るので、基本的には生き物の流入はないのですが、先日体長50センチのライギョが発見されました。これは、ここで稚魚が大きくなったと考えられます。エサもないのですが?」

 

ガイドさんの給料はどこから出るの。公務員じゃないですよね?「はい。国交省から委託された会社に勤務しています」

 

この首都圏外殻放水路は、1993年から建設が始まり、2006年6月に完成。これまで、121回水を取り込み、71回ポンプで水を排水したそうです。貯水と排水の能力は、世界最大級だそうです。

 

ということで、今日は神秘的な大人の社会科見学となりました。安全面に配慮し、小学生未満は見学できませんが、一度いかがですか?