15の旅立ち

ホワイトきゃんばすを卒園して、小学校へ旅立つのは、毎年6、7人です。卒園児たちは、先生と園児たちが一つの家族のような環境から、大海に出るようなイメージです。しかし、大海である小学校で、荒波にもまれながらも頑張っている卒園児たちの姿を見ると、やがて、小学生になる園児たちも「私も頑張るぞ!」という気持ちになります。

 

日本は島国ですから、多くの離島がありますね。今日は、伊豆諸島の御蔵(みくら)島の話です。この周囲16キロメートルの御蔵島には、小学校と中学校が1つしかなく、高校はありません。

 

この島で生活する子どもたちは、中学校を卒業すると、15年間過ごした故郷から出ていくのです。生まれた土地には15年しか暮らすことができないのです。御蔵島で生まれた者の宿命ですが、それを島の人たちは「15の旅立ち」と呼んでいるそうです。

 

人口300人ほどの小さな島ですので、全島民が知り合いで、子どもは島の宝物として、わが子も人の子も同じように接し育てられます。この「15の旅立ち」の日は、全島民が五色のテープを持って桟橋に集まり、その時の見送りの言葉は「行けよー」です。

 

この「行けよー」には、「いってらっしゃい」の他に「帰ってくるな」という意味があるそうです。島の老人は「御蔵島は自然の厳しい島だけど人は優しい。誰でも知り合いだし、誰もが面倒を見てくれる。でも都会は違う。厳しい社会だ。その厳しい社会で御蔵島出身者として誇りをもって生き抜いてもらいたい。絶対に負けて帰ってきてもらいたくない。だから、励ましの意味を込めて『行けよー』と言うのだよ」と言います。

 

故郷の温かさに甘えないで、自立するんだぞ・・・という親心ですね。

 

ホワイトきゃんばすも旅立つ環境は似ていますが、苦しい時も、遊びたい時も、「いつでも帰ってきていいよ~」といつも子どもたちに言っていますので、たくさんの卒園児がいつもやってきます。

 

そして、ホワイトきゃんばす出身者として、誇りをもって頑張れよ!と園長は、いつも思っているのです。