『きみなんか だいきらいさ』

「もう、○○くんとは遊ばないもん!」というセリフは、保育園ではよく聞かれます。でも、いつの間にか当事者同士は、仲良くおままごとを始めているのです。

 

また、女の子同士でも、「そんなに嫌だったら、一緒に遊ばないで、別々の遊びをすればいいんじゃないの?」と、先生が、半分呆れて提案しても、いつの間にか、当事者同士は、何もなかったように仲良く遊ぶシーンも、保育園ではいつものことですね。

 

1961年ですので、まだ、私も生まれていない年に、アメリカのジャニス・メイ・ユードリーという絵本作家の「きみなんか だいきらいさ」が発表されました。日本でも、1975年に出版されたので、45年ものロングセラー作品です。縦横たった15センチの小さな絵本です。

 

タイトルに、いきなり「だいきらいさ」なんていう否定的な言葉がでてくると、逆に気になる絵本ですね。もちろん、本の内容は「なんだ!やっぱりきみが大好きということだったのか」というストーリーです。

 

ジェームスとぼくの二人の男の子が登場します。そして、ジェームスの悪口が続きます。「いばりたがるし、クレヨンはかしてくれないし・・・」そして、「もうぜったい、ともだちになってやらないから」と言ったとたんに思い出すのは、ジェームスと仲良く遊んだことです。

 

そこで、まだ素直になれないまま、ジェームスのところに遊びに行きます。仲直りできるのかなと思うと・・・そんなに簡単には行きません。またしてもけんかです。

 

でも、「ねえ、ジェームス!」「なんだい?」「ローラースケートやらない?」「オッケー!クルクルクッキーはんぶんあげる」・・・このクルクルクッキー半分が、子どもにとって、本当にわかりやすい仲直りのしるしです。

 

保育園では、子どもたちのケンカが始まると、「心配だ」とか「やっかいな問題が発生した」ではなく、「また楽しい観察対象がスタートした」ぐらいに受け止めています。子どもたちは、仲よしだからケンカもするし、ケンカをすることでより友情が深くなることがあることを経験上知っているからです。

 

子どものうちは、喜怒哀楽があって心は豊かになるものです。すぐに、仲直りできる子どもの姿を見て、大人の私たちは、ドロ沼に陥りやすい「大人のケンカやトラブル」を反省しないといけませんね。(笑)