廃校水族館

少子化の影響もあり、全国の学校が廃校に追い込まれています。廃校跡が、宿泊施設になったり、おしゃれなレストランやカフェにリメイクされたり、長野県のイエナプラン校、大日向小学校のように、新たな学校となったり、様々な形で活用されています。

 

今日は、廃校が水族館に生まれ変わったという話です。

 

高知県室戸市に2006年に廃校となった小学校がありました。市が、廃校の活用策を募集すると「プールでカメ泳がせてもいいですか?」という提案があったそうです。私が市の職員だったとしても、「ウミガメで決まりだ!」と思ったことでしょう。

 

NPO日本ウミガメ協議会が、2018年4月に「むろと廃校水族館」を開校しました。英語でスクール・オブ・フィッシュは、「魚の群れ」を意味しますが、文字通り「魚の学校」ができあがったのです。

 

サメやエイがゆうゆうと泳ぐ屋外の25メートルプールに、隣りの低学年用の小プールにはウミガメがいるそうです。予算がないので、3階の理科室や図書室、家庭科室はそのまま利用。飛び箱にも水槽を組み込んだそうです。

 

「お金がないから頭を使います。自分たちが面白がれば、人は来てくれるはずだから」と、狙いは的中し、1年目の入館数は、目標4万人を大きく上回る17万人です。ざっと、1日500人が、この小さな町の水族館を訪れた計算です。現在までに、累計では32万人を超えたそうです。

 

名前に、「廃校」を付けることで「全国の学校がどんどん廃校になっている。こんな活用法もある、と知ってもらえたら・・・」と、「廃校」という言葉にこだわったそうです。

 

新型コロナウイルスの影響で、廃校水族館は休校していましたが、5月半ばに再開し、子どもたちの歓声と若者たちの活気に満ちているそうです。廃校になっても、ここには学びがあるようですね。諦めずに足下の宝を活かす地方自治体の姿に、アッパレです。