陽だまりの樹

今日は、まるでミストシャワーのような霧雨の中で、屋上遊びをしました。子どもたちは、どうせ水たまりでどろんこになるので、「気持ちいいシャワーだ!」と言いながら、大いに楽しみました。

 

さて、日本マンガ界の巨匠「手塚治虫」さんの祖先が医者であり、人々を感染症から救うために尽力した事はあまり知られていません。私も知りませんでした。

 

手塚治虫の晩年の大作「陽だまりの樹」は、幕末期の日本が舞台です。史実を基に自分の祖父である蘭学医・手塚良庵と架空の藩士・伊武谷万二郎という2人の若者を主人公に、まだ感染症の実態が知られていなかった時代に、それらの病から民衆を救うために貢献した人々の活躍が描かれています。

 

良庵は、当時恐れられていた天然痘の予防接種を人々に広めるべく奔走するものの、当時は、正しい知識が普及していない一般庶民から「種痘(予防接種)をすれば牛になってしまう」というデマや偏見に悩まされます。

 

江戸では、1849年から蘭方医禁止令が出されたこともあり、急速に広まる感染症に対して従来の医学では確実な対策が打てない状況が続いていました。しかし、黒船来航により江戸幕府内の情勢も変化し、ついに1858年に神田に種痘館(予防接種センター)が開設され、蘭方医解禁怜も出されました。

 

医学だけではありませんが、この幕末という様々な価値観の転換期に、当時としては異端の蘭方医たちが、自分の信念を貫き通し、従来の価値観と対立しながら近代医学を広めていったのです。

 

コロナ後の世界も、幕末のようにさまざまな制度や常識が変化することだけは間違いありません。その中で、私たちが、どう道を切り開いていくのか・・・自分で決めなくてはいけませんね。