大人の昔話②「勧善懲悪」

暑い日が続きますね。朝起きると、びっしょりと汗をかいているので、夏は朝風呂が多くなります。湯船につかりながら「ミ~ン♪ミ~ン♬」とミンミンゼミの声がします。夏を感じる時間ですね。

 

さて、私が子どもの頃に、夢中になった時代劇の一つは「水戸黄門」です。その根底にあるのは、日本人好みの「勧善懲悪」という図式です。もっとカッコよく言えば、勧善懲悪というお決まりのアングルに安心感を覚えるのかもしれません。

 

むかし昔、あるところに、お爺さんとお婆さんがあったんやと。

ある日のこと、お爺さんは山に柴刈りに、お婆さんは川に洗濯に行ったんやと。

お婆さんが川で洗濯してたら、川上から、大きな桃が、どんぶらこどんぶらこと

流れてきたんやと。

 

このフレーズは、日本人なら誰もが知っている「桃太郎」の始まりのシーンです。ちなみに、柴刈りとは、芝生を刈りこむことではありません。薪にするために、野山に自生する雑木やその小枝を刈り取ることです。

 

「桃太郎」は、明治以降、広く教科書に採用された話なので、日本人の100%が知っているといっても過言ではありませんね。悪さを働く鬼たちが住処とする鬼が島へ乗り込み、犬・猿・キジを連れて、鮮やかに退治する桃太郎の姿は子どもたちにとってヒーローそのものでした。

 

「猿カニ合戦」は、保育園のクリスマス発表会の劇で発表したこともあって、朝の会ではそのストーリーを子どもたちが暗記するほどです。擬人化された動物らが繰り広げる「勧善懲悪」の痛快な話です。

 

おにぎりと柿の種を交換する猿のずる賢さが際立つ物語ですが、それをハチ・栗・臼・子ガニたちの連合軍が仇討ちをするというアングルが、人気の要因です。まさに「正義の味方VS悪」という分かりやすい構図になっています。

 

さて、今の時代では、映画やドラマをみていても、「正義」と「悪」が、時には入れ替わったり、複雑になっていますね。視聴者が簡単にストーリーが分からないようにしているドラマも多いです。

 

世の中、必ずしも正義が勝ち、悪が滅びるといった単純なアングルにはなっていないのは事実かもしれませんが、私たち大人は、子どもたちに、やっぱり「頑張った人が報われること」「正義感を持って人のために行動すること」を教えていきたいですね。