殺人アリ「ヒアリ」

日本には、様々な外来種といわれる生き物が暮らしています。保育園の屋上で飼っているミドリガメも「ミシシッピアカミミガメ」の名前の通り外来種です。どろんこ広場には、いつの間にか外来種の「ウシガエル」が住みついて「モーモー」と鳴いています。

 

クサガメも最近になって外来種とされ、いけすのアメリカザリガニも、池で泳ぐ多くの魚が外来種です。こうなると、現実的には「外来種駆除」と言ったところで、すでに生き物の世界も国際化しているのです。もちろん、外来種の生き物には、何の責任もなく、持ち込んだのは人間です。

 

しかし、ワニガメやカミツキガメなど、身の危険につながる生き物となると、話は別です。強い毒性と繁殖力を持つ外来種「ヒアリ」の発見が、今年も各地の港湾で相次いでいるそうです。

 

9月17日、名古屋港で700匹。25日、同港で1000匹。29日、横浜本牧ふ頭で数百匹。10月1日、東京港青海ふ頭で500匹・・・こんな感じです。ヒアリは、2017年に初めて日本で見つかった時には「殺人アリの襲来」と大騒ぎになりました。

 

屋上ファームでアリを見れば「ヒアリかも!?」とビクビクしたものです。ヒアリは、南米原産で、米国や中国、台湾、オーストラリアなどに定着しています。海外で、ヒアリに刺された人の証言です。「数えきれないほどの大群が一斉にまとわりついてきて、振り払う間もなく一気に刺された。火の粉をかぶったような、焼けるような激しい痛みだった」そうです。

 

ある昆虫学者は「人を刺す以外にも、農作物を食い荒らし、家畜に被害を与え、配電盤や電気ケーブルに巣を作ってインフラを破壊することさえある。爆発的に増加するので生態系にも壊滅的な打撃を与えます。外来昆虫のなかでなナンバーワンの危険度です」と言います。

 

今のところ、日本では「定着にはいたっていない」と言われていますが、「ヒアリはアンダーグランドでひっそりと数を増やし、巣を広げていきます。そして、対処不能な勢力になって目の前に現れます。仮に湾港から出て繁殖していたとしても、今の段階で見つけるのは困難です」と昆虫学者は語ります。

 

体長2.5~6ミリ程度の小さな赤茶色のツヤツヤしたアリが、ヒアリの働きアリです。尻に毒針を持っています。

 

新型コロナウイルスと同じで、ヒアリも正しく恐れる必要がありますね。少し、注意してアリを観察することにします。