生き物の死にざま④ タコ

令和3年の朝を迎えました。新年あけましておめでとうございます。今年も保育園の子どもたちの笑顔のために、よろしくお願い申し上げます。

 

皆様は、どんな年末年始を過ごされましたか。いつもと違う正月の朝かもしれませんね。今年も、初日の出を寒さに耐えながら見ていました。お日様は、いつも通りですね。コロナでなくても、年が変われば、私たちは新しい道を進んでいきます。それは、自分で進むしかありません。令和3年をしっかりと、つくり上げていきましょう。

 

さて、今日は「タコ」です。正月には食卓に上がりますね。タコは、大きな頭にハチマキをしているイメージがありますが、大きな頭に見えるものは、頭ではなく胴体です。タコは、8本ある足の付け根に頭があり、その後ろに巨大な胴体があるのです。無脊椎動物の中では、高い知能を持ち、子育てをする子煩悩な生物としても知られています。

 

タコの寿命は明らかではありませんが、1年から数年と言われています。そして、タコはその一生の最後に、一度だけ繁殖を行うのです。タコにとって。繁殖は生涯最後にして最大のイベントなのです。

 

タコの繁殖はオスとメスとの出会いから始まります。メスをめぐってオスたちは激しく戦います。オス同士の戦いは壮絶です。激高したオスは、自らの身を隠すために目まぐるしく体色を変えながら、相手のオスにつかみかかります。足や胴体がちぎれてしまうほどの、まさに命を賭けた戦いなのです。

 

この戦いに勝利したオスは、あらためてメスに求愛し、メスが受け入れるとカップル成立です。二匹のタコは抱擁し合い、生涯でたった一回の交接を行います。その時間をいつくしむかのように、ゆっくりとゆっくりと数時間をかけてその儀式を行うそうです。そして、儀式が終わると間もなく、オスは力尽き生涯を閉じます。交接が終わると命が終わるようにプログラムされているのです。

 

残されたメスには大切な仕事が残っています。岩のすき間などに卵を産みつけます。そして、壮絶な子育てが始まるのです。卵が無事にかえるまで、巣穴の中で卵を守り続けます。卵がふかするまでの期間は、マダコで1か月、冷たい海に棲むミズダコでは6か月から10か月にも及びます。

 

もちろん何も食べずに、巣穴を動きません。母ダコは、ときどき卵をなでては、卵についたゴミやカビを取り除き、水を吹きかけては卵のまわりのよどんだ水を新鮮な水に替えます。

 

エサを口にしていないので、母ダコは次第に体力がなくなります。しかし、巣穴を襲う敵が現れれば、力を振り絞り、悠然と立ち向かうのです。そして、小さなタコの赤ちゃんが誕生すると、もう母ダコには泳ぐ力も残っていません。子どもたちの姿を見ると、安したように横たわり、力尽きて死んでゆくのです。

 

母ダコの最期は、母と子の別れの時なのです。

 

どうですか・・・お正月にタコを前にして、そんなタコの一生を感じて召し上がってください。