理科得点と性差

昨日は、成人式でしたね。テレビの報道を見ていても、今年は異例の成人式です。緊急事態宣言が発令された都道府県では、急きょオンライン成人式や延期などとなり、人生の大きな節目となる「成人の日」が混乱してしまいました。次の、人生の節目は、卒業式です。3月までには、事態がいい方向に進み、昨年多くの学校で、普通にできなかった卒業式が、普通にできるように願うばかりです。

 

さて、「リケジョ」という言葉が日本で使われるのは、理系に強い女子が少ないからです。よく、「理系教科は男子ができて当たり前、脳のつくりが違うから」なんてことを言われてきました。しかし、この説は、どうやら間違いのようです。

 

日本・韓国・アメリカ・イギリス・フランス・スウェーデン・フィンランドの7か国の理科平均点の男女比較では、小学校4年を見ると、韓国とアメリカを除いて、女子の方が高い結果です。日本でも、小学校4年生では、女子の方が男子よりも理科の得点は上なのです。

 

ところが、中学2年になると、日本では、男子が女子よりも平均で10点も高くなります。ここで注目すべきは、男子が女子を凌駕するのは、思春期以降です。

 

中学から高校にかけて、進路を意識するようになります。文系や理系か・・・という選択があります。日本では「女子が理系に行くなんて・・」などと、周囲からジェンダーメッセージを受け、女子が理系から遠ざけられているのではないかと、考えられるのです。

 

それは、他の国と比較するとよくわかります。日本と韓国は、男子>女子の構図ですが、アメリカは、中学になってからは女子の方ができるようになります。スウェーデンやフィンランドの北欧2国は、小4でも女子が強いですが、中学になると、その差がますます広がっていきます。

 

こう考えると、男と女の「脳」の違いという仮説は、どうやら疑わしいですね。むしろ、ジェンダーメッセージなどがほとんどない北欧2国のデータを見ると、まだまだ、日本は、男だから・・・女だから・・・という考えが残っていることは間違いないですね。

 

そう言えば、正月の箱根駅伝で、優勝した駒澤大学の監督が、選手への激励に「おまえは男だろ・・・」というメッセージがありました。このメッセージに、違和感なく、「そうだ・・・その通りだ!」と思った人は、ジェンダーメッセージを発する側の人間かもしれません。