ライフストーリーワーク

いよいよ本日で、2015年が終わります。今年最後のブログですが、少し重い話をします。

 

今春、ある児童養護施設の施設長の方と、話をする機会がありました。彼女は、ひとつ屋根の下で、そこにやってきた幼稚園から高校生までの子どもたち6人と生活をしています。24時間、寝食を共にし、一緒にお風呂に入りながら、子どもの心の声を引き出すそうです。子どもたちは、虐待等の理由で、ここにやってきました。中には、赤ちゃんの時から乳児院に預けられ、親の顔を知らない子どももいます。

 

「ライフストーリーワーク」という話を聞きました。簡単に言えば、施設にやってきた子どもたちの「生い立ちの洗い出し」です。

 

「どうして生まれてきたのか」「なぜ、家庭をはなれたのか」・・・辛い過去をともに向き合い、受け止めていくことで、ここにいるのは自分の責任ではないことを理解し、子どもたちが、未来に目を向けていく手助けをします。

 

どうして、知らなくてもいい、辛い過去を教える必要があるのか・・・ただ、可哀想なだけなのでは?と思う方も、当然いることでしょう。しかし、児童養護施設の子どもたちは、自分のことをいなくてもいい存在だと思い込んで、そのことが社会に溶け込む妨げになったり、自分の子どもに対して虐待をくり返す原因になることもあると言われています。

 

辛いですが、子どもたちは、現実を受け入れて、これから、自分はどうやって生きていくのかを考える機会になるといいます。未来に目を向けるのには、全てを知ってからということです。

 

「ライフストーリーワーク」を行う職員のスタンスは、「辛いことを教えるのがかわいそう」ではなく、一つ一つ、生い立ちを確認しながら、その子の思いを冷静に受け止めることだそうです。

 

保育園ホワイトきゃんばすの子どもたちには、全員、一緒に生活するママやパパがいます。園長は24時間一緒ではありませんし、お風呂も一緒に入ったこともありません。施設長の話は、とても衝撃的でしたが、どんな環境であれ、私たちは、子どもたちの幸せを第一に考えることが大切であることをあらためて学びました。

 

実は、春に「生い立ちの洗い出し」の話をし、大粒の涙を流してくれた私の友が亡くなりました。前の会社で、新しいマーケットに挑戦する仕事を共に頑張った、素晴らしい人物です。コミュニケーション能力が高く、誰からも慕われた彼が、闘病むなしく天国へ旅立ちました。

 

2015年最後の夜は、彼と共に闘った仕事や本気で汗を流したソフトボールや一杯やりながら熱く語りあった、たくさんの時間の洗い出しをしながら、過ごしたいと思います。

 

今年1年、保育園の保護者の皆様・・・このブログを読んでいただいた多くの皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。良いお年をお迎えください。