尺取り虫

今日は、桜の季節の陽気となり、屋上遊びでは、子どもたちが汗ばむほどになりました。バトミントンに取り組む小学生も、寒さを感じることなく楽しめたようです。

 

さて、保育園の屋上で、春先にたまに見かける虫が「尺取り虫」です。歩き方に特徴があって、愛着がわくイモムシの仲間です。手のひらにのせると、その上で歩き回ります。まるで、小さなペットのようですね。

 

この尺取り虫の名前は、「チャバネフユエダシャク」という蛾です。尺取り虫は、春に卵からかえり、クヌギの青葉や若葉などを食べます。春の短い期間で、一生分の栄養を蓄えるのです。

 

夏から秋に、土の中でまゆをつくり、サナギとなって過ごします。そして、冬にかけて成虫となり、木の幹を登るのです。成虫のチャバネフユエダシャクは、クモか鳥のフンかと思えるような、白黒の斑点模様の、ずんぐりとした形をしています。蛾なのに、ハネがありません。これは、メスだそうです。

 

なぜ、多くの昆虫が冬眠している寒い冬に活動するのか、そして、なぜメスにハネが無いのか?・・・答えは、冬期は外敵が少なくて安全度が高いからだそうです。そして、メスにハネがないのは、飛びまわる労力も節約して、できるだけ多くの力を次の世代の卵に託すということらしいのです。

 

そう言えば、ミノムシのメスもハネを持たないで、一生をミノの中で暮らす蛾です。尺取り虫は、春にとった栄養だけで何も食べずに半年も生き抜き、オスを引き寄せるフェロモンという絆で純愛を育み、次の世代の命を残して、当たり前のように静かに死んでいくのです。

 

尺取り虫の死にざまも、また我が子のために命を賭ける母の愛を感じますね。春になって、尺取り虫を見かけたら、そっと、見守ることにします。