シニアが主人公

連日の屋上プールで、子どもたちはしっかりと体を動かしているので、お昼寝タイムはぐっすりです。午後3時の終了時間になっても「ぐ~ぐ~ご~ん」の子どもたちです。(笑)

 

さて、日本は、今後さらに高齢者社会となっていくのですが、高齢者のことを「シニア」と呼ぶことが多くなってきました。シニアという言い方のほうが、なんだか若々しく聞こえるし、アクティブなイメージがありますね。

 

最近は、シニアや老いを取り上げた漫画が人気になっています。おざわゆきさんの「傘寿(さんじゅ)まり子」は、80歳の女性をありのままに描いた話題の作品です。ちなみに、傘寿とは80歳の長寿を祝う風習のことです。

 

主人公・幸田まりこは、80歳で現役の小説家です。友人の死をきっかけに、4世代同居の自宅に居場所がないと感じて、家出をするところから物語は始まります。ネットカフェに寝泊まりする中、あこがれの男性と再会して恋心を思い出し、ウェブ文芸誌を創刊しようと奔走するのです。こんなに自由で、活動的に我が道を突き進む姿は、従来の高齢者像を打ち砕いてくれるのです。

 

作者のおざわさんは、前作「あとかたの街」で、91歳の母親の戦争体験を描いたことを機に、高齢者の暮らしに焦点を当てた作品を思いついたと言います。まり子を描く際には、周囲のアクティブな80代を観察したそうです。「自分の本質が30年前と変わっていないように、リアルな80歳も人間味があり、若者と変わらない存在だと思う」と言います。

 

どうも、私たちは、高齢者社会と言うと、やれ介護や医療問題など、暗い面ばかりをイメージしてしまいますが、「年を取ることも楽しそうだ」と、この作品は希望を与えてくれます。

 

「メタモルフォーゼの縁側」は、75歳の女性と女子高校生の交流を描き、映画化もされました。「ぼっち死の館」は、高度成長期に建てられた団地で暮らす高齢者たちを描きます。老いの良い部分もつらい部分も描かれた作品は、楽しみながら学べる人生の教科書かもしれませんね。

 

WHO(世界保健機関)は、65歳以上を高齢者とし、日本を含む多くの先進国でこの定義を基準としています。しかし、私たちが高齢者だと認識するのは70歳以上ですね。そして、日常生活を制限なく送れる「健康寿命」も、男性が73歳・女性は75歳と、ここ20年で、男女ともに3歳程度伸びているそうです。実社会でも、活動的なシニアが増えているのです。

 

人間は不思議な生き物で、1日24時間のうち、最初の23時間が辛くて苦しいことが続いても、最後の1時間が幸せだったら、「今日一日は幸せだった」と感じるそうです。逆に、最初の23時間が楽しい時間であっても、最後の1時間が苦しければ「今日は辛い日だった」と思うのです。

 

人生に当てはめるなら、死の前に楽しい時間を過ごすことができれば「幸せな人生だった」と思えるのかもしれませんね。ますます、シニアになってからの残りの人生をどう過ごすかが、大切なのかもしれません。