幻の甲子園

年中の男の子が、午後のおやつが終わって「サンタクロースってどこから来るのかな?」とつぶやきました。今日の寺子屋で、まずみんなに聞いてみます。すると、「地球以外の他の星から来たんじゃないの?」と6歳女の子が言います。「それじゃ、サンタクロースは宇宙人なの?」「それはないなぁ~宇宙からトナカイが飛んでくるの?」「やっぱり、日本じゃない他の国から来たんじゃない」・・・と子どもたちの会話が盛り上がります。

 

「たぶん、雪がたくさん降る寒いところじゃないの?」・・・と場所が絞り込まれました。そして、地球儀を見ながら「フィンランド」の場所を確認します。サンタさんにお願いするプレゼントをそれぞれ聞きます。おもちゃいろいろですが、クリスマスが近づいてきましたね。「12月23日のクリスマス発表会で頑張ったら、きっとプレゼントが届くよ」と大人の決めゼリフで、今日の寺子屋をまとめます。(笑)

 

さて、3年前の夏、コロナの影響で夏の甲子園大会が中止になったことを覚えていますか。この大会に出場するはずだった高校球児の無念は、言葉にはできません。「甲子園のために生きてきた」という球児も多かったはずです。中には「もう夢や目標に向かって努力しようという気が起きない。なぜなら、どんなに努力をしたって、一瞬で夢が消えると知ってしまったから」という「絶望」を生んだのです。

 

しかし、その絶望を乗り越え、人生を前に進めるための挑戦が今年立ち上がったのです。その名も「あの夏を取り戻せプロジェクト」です。発起人は、現在大学3年生で、3年前に涙をのんだ元高校球児「大武優斗」さんです。

 

大武さんは、中止の現実を受け入れるために、毎日触っていたバットとグラブをしまい込み、目に触れないようにしたそうです。しかし、高校を卒業し大学生活が始まっても、当時の仲間と会えば必ず「俺たちだけなぜ!?」とうなだれるのです。この時、「まだ人生は長く続くというのに、このままじゃ前に進めないと思った。不完全燃焼に終わった『あの夏』に終止符を打つために、甲子園の地での試合の開催を実現しようと、高校同期に呼びかけることから始めました」と、夜行バスや鉄道の格安切符を駆使して、全国の49チーム、約千人に声をかけます。

 

「自分たちが立ち上がる姿を見せることで、すべての同世代に勇気を届けよう。あの夏を取り戻すだけじゃない。超えてみせよう」と訴え続けた大武さんの情熱が伝播し、参加を表明する元球児が日に日に増えていきます。思いを同じにする仲間たちと実行委員会を発足。肝心の舞台となる阪神甲子園球場に交渉した結果、オフシーズンの1日だけ使用許可が下りたのです。

 

そして「『あの夏を取り戻せ』全国元高校球児野球大会」の開催が決まったのです。しかし、これには6450万円の費用が必要でした。大武さんは、今年5月に記者会見を開き、寄付を募るクラウドファンディングの実施を発表します。大武さんの情熱は、甲子園出場の経験のあるプロ野球のレジェンドたちの心を次々と動かします。元ヤクルトの古田・荒木、元阪神の矢野が公式アンバサダーとなり、企業からも多くの協賛金が集まりました。

 

そして、大会は11月29日から12月1日までの3日間、阪神甲子園球場とその他の兵庫県内球場で行われます。入場料はできるだけ多くの人に見てもらいたいと無料です。

 

大武さんはこう言います。「僕が得たものは仲間です。3年前に同じ悔しさに耐えた全国の仲間と出会えたこと。この仲間と一緒に、これからも前に進んでいこうと思えました」

 

どうですか・・・何というエネルギーでしょうか。こんな若者がいるなんて、感動しかありませんね。大きな挫折で心が折れそうになった時に、もう一度夢に向かう気力は、とても真似できる事ではありませんが、この話を聞いた私たち大人も「がんばろう!」という気持ちにさせる、すばらしい行動力ですね。