「獣医病理学者」って?

明日の節分は土曜日ですので、本日屋上で豆まきを行いました。園児は、紙のボウルとカラーペーパーで作った1本角の鬼の帽子をかぶります。もちろん、手作りですので、色もテイストも微妙に違ってきます。そこに、先生が扮するリアル赤鬼が登場です。チビちゃんたちは号泣するものの、大きい園児は、「○○先生でしょ」とすぐにばれてしまいましたが、楽しい豆まきになりました。豆まきに参加したのは、子どもたちだけではありません。ハトやカラスも参戦です。(笑)

 

さて、獣医病理学者というのをご存じですか。獣医である動物のお医者さんであることが多いですが、それだけではありません。獣医病理学者とは、動物の遺体を預かって、解剖や顕微鏡検査を行い死因を突き止めるのが仕事です。

 

ある朝、ペットとして飼われていた10歳の犬の遺体が持ち込まれました。まずは、飼い主から事情を聞きます。「一年前から疲れることが多く、咳を繰り返していた。やがて散歩にも行きたがらくなった。もう年のせいだろうと思っていた。そして、昨日突然倒れて呼吸困難に陥り死亡した」

 

獣医病理学者が解剖による検査を行います。胸部と腹部を開き内臓を見ると、肺の半分が侵されていた。心臓には「そうめん」状の生物がひしめいていたのです。これはフィラリアです。飼い主には、ちゃんとフィラリアの予防をして、動物病院に連れて行ってさえいれば、苦しまずにもっと延命できたかもしれないことが伝えられます。

 

獣医病理学者は、動物だって、早期発見・早期対応が必要であること。飼い主にも問題があったことを伝える義務があると考えています。「年だからしかたがない」で終わってしまうのはむなしいと言います。生物の死を無駄にせず、そこから学ぶべき教訓を引き出し、同じ過ちが繰り返されないようにすることが獣医病理学者の使命なのです。

 

今度は、小学生から「みんなで有精卵から育てていた鶏が急死したので死因を調べてほしい」との依頼がありました。依頼を受けた、獣医病理学者は、出張解剖を行い、その様子を小学生に見せたそうです。すると、小腸にぎっしり小松菜が詰まっていたそうです。どうやら餌が偏っていて低栄養に陥っていたようでした。子どもたちは、真剣な眼差しで一部始終を見守ったそうです。

 

私たち大人は、子どもたちに、生き物の死をできるだけ感じさせないように、遠ざけることが多いですね。しかし、生があるかぎり死があり、死があるから生の意味がある。死から目をそむけてはいけないのです。

 

保育園では、犬や猫は飼っていませんが、カメをはじめ、多くの生き物を飼っています。今まで、子どもたちは、何度も生き物の死を見てきました。まだ「死があるから生がある」とう意味はわからないですが、生き物には必ず死があることは、ずっと教えていきたいですね。