暗殺教室

屋上には、ススキがあります。ご存じのように、土の中で根を張って、どんどん増えていきます。そんな、ススキが勢力を増して手が付けられなくなった花壇に、一輪の赤いチューリップが咲いていました。ど根性チューリップと言われるようなたくましさではなく、けなげに咲いているのです。感動のチーリップです。

 

さて、今日は「暗殺教室」の話です。テレビアニメにもなり、実写で映画化もされたので、知っている人も多いかと思います。

 

中学校の3年E組に、月の7割を破壊し、マッハ20で空間を移動することができる謎の危険生物が「担任」としてやってきます。「来年の3月に地球を爆破する」と宣言するこの生命体に対し、E組の生徒たちは防衛省より任務として「暗殺」が依頼されます。「殺(ころ)せんせー」と名付けられたこの生命体の暗殺報酬は100億円です。

 

どうですか・・・学園モノSFサスペンスといった感じですね。しかし、この作品は、多様化する価値観が前提となる社会において、教師としてのあるべき理想像を考える、つまり、「良い教師」とは何かを考えさせられる内容になっているのです。

 

3年E組は、学校の理事長が「合理的な教育」を実現するために、あえて見せしめのように設置した「脱落組」のクラスです。E組の生徒たちは、上位級の生徒たちの優越感を高めるため、ことあるごとにおとしめられます。

 

しかし、「どの川にすんだか」ではなく、「すんだ川でどう泳いだか」を重視する殺せんせーは、与えられた条件の中で何ができるのか、どんな可能性があるのかを生徒たちに考えさせ、主体性を育もうとするのです。こうして、先生と生徒たちは、勉強にも手を抜かず、さまざまな学校行事や事件を乗り越えながら、絆を深めていくのです。

 

「テストは良い。一夜漬けで得た知識など大人になったらほとんど忘れてしまうだろう。それでもいい。同じルールの中で力を磨き脳みそを広げ結果を競う。その結果から得る経験こそ宝物だ」「理不尽な事が世の中にあるのは当たり前。それを恨んだり諦めている暇があったら・・・、楽しんで理不尽と戦おう。「先生が日々成長せずして、生徒に教えることができるでしょうか」「正面から立ち向かわなくていい。避難しても隠れてもいい、反則でなければ奇襲もしていい。常識はずれの武器を使ってもいい」

 

こんな名言で、殺せんせーは、生徒が目標に向かって知恵を絞り努力する楽しさを教えるのです。教師とは、こんなにも魅力的な職業であることを教えてくれる作品です。

 

本編の最終回は、壮絶なSFサスペンスですが、3年E組の生徒たちの未来が描かれています。希望に満ちあふれた結末です。